業務用のだしなどの製造を手がける食品製造業の三幸食品株式会社は、M&Aによって食品卸業をはじめ多岐に渡り事業をされているサンコレクトグループにM&Aにより子会社化されました。
30代後半の若き経営者がM&Aを選択した経緯や現在の心境、M&Aのメリットなどを、三幸食品株式会社の前代表取締役社長の石野秀行氏にお話を伺いました。当社主催のM&Aセミナーの講師として登壇いただき、参加された経営者の方々へお話いただきました。
三幸食品株式会社 (所在地: 石川県)
前代表取締役の石野様は、1978年生まれの現在39歳。三幸食品㈱様は、主に業務用のだし、だしパックの製造販売および業務用の食品製造販売を行っており、年商約6.2億円、従業員数が約50名の業歴61年の企業でした。石野様は4代目で昨年まで社長として手腕をふるっていましたが、2017年4月にサンコレクトグループとM&Aを行い、自社をお譲りになられました。
サンコレクトグループ (所在地: 富山県)
サンコレクトグループ様は、㈱セル コーヒーフーズを主体とした食品卸売販売事業を主体に飲食事業、外販事業、IT事業もされています。また、現在の創業社長が建築業でビジネスを始められた関係もあり、不動産業、建築業と多岐にわたる事業展開を行っており、年商は11億円の成長企業です。
従業員の継続的な雇用を考えた時に、自社の持っている顧客の市場だけではどうしても先細り感がありました。特に若いスタッフに定年まで働いてもらおうと思った時に、現状では先行きは不透明でしたので、単純に会社を大きくしていかなければならないと思いました。その戦略としてM&Aを考え始めました。
会社の繁栄と雇用の継続の為の手段としてM&A決断をしました。相手企業の市場やノウハウを活かし、相乗効果で自社も発展することできると考え、雇用継続の更なる強化を目論み、最初は買収・売却の双方の選択を検討していました。最終的には、私には娘だけしかおらず遅かれ早かれ後継者不在の問題がやってくることと、現在の社内体制を鑑みた際に、買収をするよりも売却により買い手企業に主体性を持っていただいたほうが、現メンバーの力が最大限発揮できて、会社の繁栄につながると思ったからです。
まずは、M&Aを希望するに至った経緯をお話しました。こちらの希望や他のケースの実例、会社の売却価格をどう設定しているか、またどのような方法でマッチングを進めるかなどの説明を聞いたかと思います。
その後、面談を数回重ねました。
また、これらの可能性について、話し合いをさせていただいたき納得できたので、仲介業務を依頼しました。
第一に、雇用の継続を保障してくれるような会社であること。そして、双方の持っている市場や商品のノウハウに相乗効果を感じさせてくれること。今までの自社の企業風土とは異なっても、従業員をグイグイ引っ張ってくれるリーダーシップを発揮してくれる幹部がいる会社を希望しました。
その条件を鑑みて、同業異業にかかわらず、50社ほどの候補企業をご提案いただきました。実際のところ、一緒になって良い結果がイメージできる会社とよくわからない会社もありました。仲介者様のリストアップなので、こちらが希望しても相手が関心の無い場合もあるので、よほど悪いイメージがない限り幅広くリストにある会社に聞き取りをしてもらおうと思っていました。
会社内の課題や問題これからの方向性などを含めた、こちらの希望をほぼ受け入れてくれたからです。具体的には、三幸食品の課題は「営業力」にありました、どんなに良い商品でもお客様に届かなければ意味がありません。
一方で、サンコレクトグループは商社という事もあり商品を売る力を持っていました。また商社がメーカー機能を持つことで、取引先への提案が広がることと、三幸食品のお客様も含め販路拡大にシナジーが生まれることが見込まれ、双方にとって一緒になることがメリットだと感じ決断しました。
買収監査はかなりハードでした。基本的には社員には一切知られない様に進めるので、質問されたことに関して分からないときは、さりげなく社員に聞いたりしていたので神経は使いました。
聞き取り調査の時は、顧問税理士先生にも同席してもらいました。会社の資料を極端な事を言えば根こそぎお知らせすることになるので、いかに資料を正確にそろえるかが大事であると感じました。日々の業務に関する資料の整理整頓がしっかりされているかがこの時にわかります。提出する資料は会社の全てですので、良い事も悪い事も正直にお話しすることが大事かと思います。
資料集めは担当の中森さんが手伝ってくれたので助かりました。中途半端な報告をすると譲渡後に誤解が生じるので誠意をもって対応させていただきました。
M&Aの仲介を依頼した時から色々な意味で、勢いで進めてきたところもありました。ずっと葛藤の連続でした。
この繰り返しで数ヶ月間過ごしてきました。
調印式では、これまでのことが一気に思い出されて、押印寸前に人目もはばからず泣いてしまいましたが、セルさんとのご縁を信じるしかないと思いました。
当然なことで驚かれました。理解をしてくれるお客様もいれば、お叱りを受けるお客様もいました。
『時代の流れに合わせて会社の形も変えていかないといけない。社長の顔が変わるだけで取引の形などは一切変わらないので安心してください。』と真摯に説明して回りました。取引そのものはこれまでと変わらず継続となりましたので大きな混乱はありませんでした。
しかし、スタッフを含め『石野は会社を売った、逃げた、裏切った』と思った人もきっといたと思います。もともと古い閉鎖的な思考の市場・業界であり、M&Aというそのものが身売りや乗っ取りというマイナスなイメージを持たれている方もいらっしゃいました。これらを抜きにしても、会社の内情含め経緯や自分の想い全てを100%理解してもらえたとは思っていません。人それぞれ色々な想いはあると思うので、こればかりは仕方ないと割り切るしかないと考えています。
親会社から新社長が1人で来てスタッフと一緒に仕事をしています。大挙して人がやってくるといった乗っ取りではなく、現在のスタッフの力を活かして会社をさらに発展させるといったスタンスです。うちの会社は社歴の長いスタッフが大半で、今までは新しいことに対してのアレルギーが蔓延していましたが、組織が変わったことで会社全体に緊張感が一気に広がったと感じています。これは悪い事では無いと思っています。元々会社全体に「このままではダメだ」という漠然とした不安が常にありました。それをうまく実現することができない社風が突然ある意味強引に変わることになりました。
新社長はこれまでのしがらみや先入観がありませんので、色々なアイディアや方針を次々に打ち出されているようです。それに対しての反対意見などもあるようですが、自分の時はしがらみや現状を知りすぎているために思い切った行動に移せないでいました。今は、新しい売り先や売り方を多少リスクであっても行っています。直前期の決算&財務状況が非常に良好であったタイミングでM&Aを行いました。そのため、少しくらいのつまずきも十分耐えられる時間と財務的余裕はあると思います。そんなの中で、新体制のもと新しい挑戦を行ってくれるのはありがたくもあり、自分にはできなかったという悔しい思いもあります。
いずれにせよ新社長のもと少しずつ意識改革が進み、強い組織になってくれることを祈るばかりです。
少なくとも自分は残されたスタッフの今後の保障を何よりも考えてほしいという思いでM&Aを実行しました。
譲受側は「もっと自分の会社を大きくしたい」譲渡側は「とにかく雇用の継続を」が本音だと思います。大枠の思惑では一致しても、細かい部分で想いの違いは出てくると思います。さらにその先の「譲渡側の社員」との思惑の違いは大きく出てくると思います。
譲受企業・譲渡企業社長・譲渡企業社員はそれぞれ違う立場です。まずは譲受側と譲渡側社長が本音で想いをぶつけあうことが必要かと思います。
お互いがどのような会社であるかを理解し合うまで、何回も面談などを行ってコミュニケーションをとることが大事かと思います。この部分では自分はもう少し時間をかけて話し合えることが出来ていればと反省しています。
そして、M&Aを実行する前には、譲渡側社長とそこの会社従業員もこれからの会社の方向性や従業員の想いなどを出来る限り本音で話すことが出来れば良いかなと思います。
今回のM&Aは、両社の思いを実現できる良いマッチングであったと感じています。実行後もシナジーがうまく発揮され順調に業績を伸ばされています。
もし会社を買収して成長されたいとお考えの方には、譲渡側のオーナーは、このような思いで決断、実行されているという事を御理解頂いたうえで、「買手企業は選ぶ方ではなく、選ばれる立場」であるとお考えいただけると仲介者としてありがたく思います。日頃からM&Aをする目的、または自社の戦略を明確にしておくことが重要です。たとえば、今後の発展を考え譲渡をご決断した社長に、自社と一緒になった時にどのような発展が考えられるかを明確にアピールできるようになどもそうです。
私たちがヒアリングする中で、たまに譲受企業の社長から「どこでもいいから良い企業があったら持ってきて」という言葉が投げかけられます。仲介会社としても、そういった企業様への提案がどうしても後回しになってしまいます。明確なビジョンを持ってM&Aをご検討いただけたらと思います。
ベイシカルマネジメントがご支援させていただき、M&Aを実行された企業様の事例です。
M&Aを決意された理由や実行時の状況から、M&A後どのような成果を得られたのかをご紹介します。
経営者の希望 | |
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問題・課題 |
実施策 | 従業員1.5倍、年商2.5倍規模の射出成型部品製造業J社とM&A。 |
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結果 |
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